2023年11月5日、茨城県で開催された米女子ツアー・TOTOジャパンクラシック最終日。
18番グリーン周辺にいた観衆が、雪崩を打つようにして一斉に動き出した。
スタッフの誘導のもと、列をなしていく。
その数は数百人に達していただろう。
来た!と歓声が上がった。
ラウンドを終えた西村優菜が、笑顔で列に歩みよる。
「一日応援してくれてありがとうね」
先頭にいた少女に声をかけて、サインを始める。
飛び跳ねて喜ぶ様子に目を細めながら、次に並んでいるファンにも丁寧にお礼の言葉を伝える。
ファンサービスはたっぷり数十分は続いた。
疲れた様子もみせず、最後まで笑顔でやりきった。
「本当にたくさん来てくださったので、一緒に楽しんでもらえたらと思ってプレーしていました」
首位と6打差で出たこの日は、序盤につまずいた。
3番パー3で、第1打を池に入れてダブルボギー。逆転優勝は早々に難しくなってしまった。
それでも、そこからスコアを5つ伸ばし返した。
バーディーパットのたびに、観衆から「入れ!」と大合唱が起きる。アーティストのライブで発生するファンとの掛け合いのようだった。
サインをしながらみんなに伝えた感謝の言葉。
それは「一緒に楽しんでもらえてありがとう」という心からのものだった。
同行のチームスタッフも含めて「みんなで楽しむ」。
西村優菜が多くのファンから支持されるゆえんだ。
だがそんな彼女が「誰にも会いたくない」と心を閉ざした日があった。
遠い昔の話ではない。ほんの3か月前のことだ。
その日、西村優菜はホテルからいなくなった。
8月のアイルランド北部は、連日天気が悪かった。
この日も灰色の雲が垂れ込め、夏場とは思えない冷たい雨風が吹き荒れていた。
用がないなら、とても外に出る気にはならない。
なのに彼女は、どこかに姿を消してしまった。
…
この記事はグノシーアプリ限定記事です
続きはアプリ内の「西村優菜チャンネル」にて
お読みいただけます
(アプリ内公開期間:2023年11月22日まで)
グノシーのインストールはこちらから
(すでにグノシーをお持ちの方は最下部のボタンから)
グノシーをお持ちの方はこちらから